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遠くて遠い国ブラジル・・・「映画:セントラルステーション」1998/ブラジル映画

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昨日のブログに関連して今日はブラジルのお話。ブラジルといえばサッカー好きには聖地のような国。ロナウジーニョ、カカ、ロナウドなどのスーパースターは勿論のこと、ジーコやドゥンガといった過去の名プレーヤーも来日してプレーしたことがあり、Jリーグの発展に貢献してくれたこと。さらに現在でもマルキーニョス(鹿島)ら多くの選手達、監督がJリーグで活躍している。カズの時代から現在まで”サッカー・ブラジル留学”も盛んだ。2014年のW杯はブラジルで行われる。                                             

そして何よりも日本とブラジルの深い関係といえば20世紀初めからこの国に移民した日本人の子孫は現在サンパウロを中心に150万人在住している事実。(田中マルクス・トゥーリオも日系の父を持つ。)・・・とこんなに縁が深いにも関わらず、ブログ主はブラジル社会の現状、人々の日常生活などあまりにも知らなさすぎる、ということを痛感したのがブラジル映画「セントラルステーション」だ。(監督:ウォルター・サレス、ヴァルテル・サレス)         

Photo_2 リオデジャネイロの中央駅コンコースでひとりの初老の女性が小さな机と椅子を出して代書屋をやっている。(ブラジルは60年代には識字率50%だったが現在は80%を越えているという。しかしこのような商売が成り立つには20%の字の読み書きできない人々でも総人口から見ると5000万人ということになるからだろう。)店には様々な人が訪れて代書を依頼する。彼女ドーラはそれら「故郷の家族宛て」「恋人宛て」などの手紙を書き、毎夕方には自宅に持ち帰り投函もせずに破り捨ててしまうのだ。ドーラはかって教師をしていたが現在では身も心もすさみきっている。                                   

或る日少年を連れた女性が「ホントはあんな奴には会いたくもないのだけれどこの子が会いたいというので夫に手紙を書いて。」と依頼してくる。しかしその直後に女性は駅前でクルマにはねられて死んでしまい、少年ジョズエが取り残される。田舎から来たばかりの少年にはリオは危険すぎる町だ。電車の窓から乗降する若者、ラジオを万引きしただけで撃ち殺される人。ジョズエはストリートチルドレンになるしかない。(数年前、新聞を読んで驚いた。リオのホテルのオーナーに雇われた男達が公園に集まって野宿する大勢のこどもたちを銃で撃ち殺したり、夜中にいきなりトラックにこどもらを積み込んで遠くの森に捨てに行くという記事。観光都市に目ざわりだという理由で。オーナーも大した罪にならないとのこと。)        Photo_3                                           

ジョズエはひとりぽっちで駅をうろつく。ドーラは可愛そうとは思いながらも「養子縁組斡旋所」に彼を連れて行き、斡旋料でTVを買うのだが、実は「斡旋所」の正体はこどもの臓器売買を商売にしている事を友人から教えられ、驚いてジョズエを奪還する。そうしてふたりは「送られなかった2枚目の手紙・・母が死んだときに持っていた」を頼りに父親探しの旅に出ることになる。持ち金もわずかで・・。     

長距離バスの運転手に気を惹かれたドーラはドライブインで密かに化粧をし、彼を誘惑しようとするが敬虔なクリスチャンの彼に逃げられ落ち込む。ジョズエが「おばちゃん、きれいだよ。」と慰めるところが泣かせる。どこまでも続く荒野と赤い大地(テラ・ローシャ)の中の道路Photo_4 を走り続けるバス。夜になってたどり着いた村の村祭りで、一文無しになったドーラは「代書屋」を始める。村人のさまざまな手紙に託す純粋な思いや願い(この国は70%が敬虔なカトリック教徒とのこと。トゥーリオも試合中に何度も十字を切りますね。)が心を打つ。ドーラは今度は破り捨てずにちゃんと投函する。         

ジョズエとドーラが次第に心を通わせ、とくにドーラのすさんだ心がジョズエの純粋な優しさ、村人達の人間としての素朴さによって癒されていく。そうしてようやく到着した父親の家にはすでに他人が住んでいて、「ここの家の人は少し離れた新しい団地に移った。」と聞かされ、そちらに向かう。赤土の乾燥した荒野の中に突然現れる「現代風のプレハブのマッチ箱のような家々。そこに兄ふたりが住んでいた。(先妻の子で腹違いの)かれらは大工などの仕事で真面目に生きる青年、やってきた弟を暖かく迎え入れる。字を読めない兄たちは消息不明の父からの手紙をもっており、それをドーラに読んでもらい幼い弟を託す父の願いを知るのだ。                                     

夜明け、兄たちに挟まれて眠っていたジョズエはひそかに旅立つドーラをバス停まで夢中で  Photo_8 走って「さよなら」をいう。「いつかあなたが(あなたの夢である)大きなトラックを運転するとき、思い出して。そして二人で撮った(村祭りで)写真を見てね。私も父に会いたい。人生をやり直したいのよ。」                                             

この映画はサンダンス・NHK国際映画作家賞、ベルリン国際映画祭・最優秀賞、ゴールデングローブ賞などを受賞。ジョズエは1500人のオーディション応募をよそにリオで靴磨きをしていた少年が監督に気に入られ抜擢されたそうです。ドーラを演じたフェルナンダ・モンテネグロはブラジルの名女優で、彼女が駅構内に机を置いた途端、人だかりができ(ホントの代書屋と間違えて)次々に書いて欲しいことを語り始め、従ってこのシーンは殆どアドリブで撮影されたとのことだ。                                             

Photo_10 ウォーターサレスはブラジル出身の新進監督で他に「モーターサイクルダイアリーズ」(若き日のチェの日記を元にしたロードムービー)「ビハインド・ザ・サン」(荒野の貧しいサトウキビ農家どうしの確執)がありますがチェを演じたガエル・ガルシア・ベルナル、農家の長男を演じたロドリゴ・サントロのあまりにも美しい青春期の俳優とともに忘れられない名作となっています。(ブログ主の中で) Photo_11                         

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