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将来、日本人は餓死してもいいのか・・・政府のTPP加入の動きについて

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このところ、管内閣は将来への展望のなさ、現実対応の自信のなさをさらけ出している。「中国漁船の領海侵犯と乱暴狼藉」事件、そして「TPP加入の検討」をAPECで公表するなど。今日も映画の話を書く予定だったのが、昨夜からあまりに腹が立つのでガス抜きに後者の件についてわが意見を記してみたい。                                

「TPP(Trans-Pacific Partnership・・環太平洋戦略的経済提携協定)」とは「加盟国間で取引Photo_3 されている全品目について、関税を原則完全撤廃する」いわゆる貿易自由化協定である。(グローバルな新自由主義というべきか) 現在の加盟国はチリ、ブルネイ、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、アメリカの9ケ国、内閣府は来年6月をめどに「加盟の方向で検討」と表明した。その理由は、貿易自由化によって輸出を伸ばすことになり経済は活況し、GDPが2.4~3兆ふえるという何ともおおざっぱで楽観的な予測による。                                            

これに対して農林水産省は「農作物の完全自由化(特にコメ、酪農)により農家は立ちゆかなくなり、農業関連産業を含め340万人の雇用が失われる。現在の食料自給率40%(先進国では最低の危機的状況)はさらに14%程度まで落ちるだろう。GDPはプラマイ7.9兆の減少になる。etc」と反対。                                          

経済産業省「自動車、機械産業、電気電子産業部門での輸出の増大が期待される。」と賛成、世間ではまず北海道の農民及び各団体が反対の声をあげ、デモなどを行い、TVニュースでも伝えられた。大手の新聞は煮え切らない感じながら、何となく賛成。毎日新聞では各界の識者が「グローバリズムに乗り遅れるな。」と賛成の声を上げている。食料、とくに穀物自給率の低さは従来あちこちで「独立国としての危機的状況」として叫ばれてきており(私も同意見)、歴代内閣も農業政策を重視(するふり?)をしてきたが一向に成果が上がらないPhoto_2 ばかりか、離農者の数は留まることなく放棄された水田が荒れ地となって増え続けている。(写真右下)何せ、農業従事者の収入は時給にして高校生のバイト代(700円代)より低いという。                        

国民の中には「農業だけ特別扱いするな。コメ農家への保護政策をやめろ。農家の体質改善をして国際競争に打ち勝てる力をつけるべき」との世論もあるが、日本の農業政策は農民とは関係のない公共投資、農協など農業関連団体に助成金がまわり、それらを地盤に当選している農業族議員に利してきただけで自由化されたらひとたまりもなく崩壊することは目に見えている。「やはり他の商品と違って食料は別だろ。」と思うのがごくふつうの国民感情ではないだろうか。「鎖国をやめろ」の声に反論するが、農産物の自由化は世界のすう勢どころか、平均関税率はEU20%、アルゼンチン33%、ブラジル35%、アメリカも乳製品など重要品目には高い保護関税をかけており、日本の農産物関税平均12%はむしろ低いぐらいだ。                         

地球温暖化で世界的穀物不作が到来するといわれているなかで「食料はカネさえあれば買える」ものではない。(現に今年のオーストラリアの小麦は大凶作で輸出どころか輸入国になってしまった。)さらに食料を売って頂く国のご機嫌を損ねないように不本意な外交もしなければならない。現在、国内で売られている冷凍食品の8割近くが外国産(その殆どが中国)で、毒入り餃子事件後も「添加物危ないなあ」と思っても他に選択枝はない現実もある。                 

それでは一体何のために国を明け渡そうとしているのか。それは「韓国経済の大躍進」の脅威に対する危機意識だ。。韓国のサムスン製品、ヒュンダイの自動車は日本では不振であるが(サムスンは撤退)、欧米ではすでに販売量は日本を抜いてトップ、「安いがモノも悪い」というのは過去の話で質も向上しており、日本製品を完全に凌駕しているとのことだ。つまり日本は今や「韓国に追いつき追い越す」という、かってとは逆の立場になってしまっているのだ。「羽田空港をアジアのハブ空港に」と盛んにいうのも然り。・・・つまるところ内閣の「TPP加入」は自動車、機械、IT産業等で再び韓国を追い越したいということなのだろう。           

しかし今日の毎日・朝刊が「トヨタがクルマの国内生産をほぼ全部外国での生産に移す予定」と報じていた。付随する部品産業も同時に移すとなると、この大規模な産業の空洞化はいったいどれほどの雇用の喪失、地方の衰退をもたらすのだろう。「自動車立国・日本」は「失業・餓死大国・日本」でもあるということか。         Photo_14

ところでリーマンショックからいち早く立ち直り(ウォン安で)、サムスン、ヒュンデなどの大企業の躍進いちじるしい韓国は果たしてそんなに羨ましい国なのだろうか。李明博大統領(貧しい家庭から努力で成り上がりヒュンデ建設を零細企業からトップ企業に育て上げたバリバリの企業人だ)のもとで韓国の国民生活は向上したのか、否。大企業の優遇策(例えば法人税はPhoto_7 日本の半分の20%代)で国民の貧富の差は広がり、地方、農業は衰退し、人口の50%がソウルを目指したため、ソウルには大規模なスラム(に等しい地区)が形成、また企業の非正規社員は増加の一方をたどっており、学生は日本と同じ(またはそれ以上に)求職で苦しんでいる。                            

さらにひとにぎりのエリート企業に入るためのすざまじい受験戦争、裕福な家庭はこどもを留学させ、少しでも職業のランクアップをはかろうとする。(韓国ドラマでも、塾通い、受験地獄、名門大への異常なまでの憧れなど見られる。)国家公務員試験も日本以上に激戦で7~8年の浪人がざらにいる由。食料自給率も日本なみ、又はそれ以下に低い。韓ドラは見ているが決して住んで羨ましい国だとは思わない。さらにどこかの国の圧力があるのかないのかも知らないが、民主党よ、しっかりせい、といいたい。(下は国別食料自給率。ただし穀物のみについてはアメリカ150%、英92%、フランス164%、ドイツ102%、日本28%) Photo_22 

 

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